直流モーターの駆動回路
(PIC使用)

研究室にて,僕のわがままでPIC(Peripheral Interface Controller)の開発環境を整えたものの,
現在はまだ皆様,PICの何たるかがわからない状況.
10万円を投資したので,折角だから研究室のみんながPICマスターになることを願って,
また自分の勉強の意味合いもかねて,色々マニュアルやらサンプル回路やら作ってみようと計画.
その第一歩がこの直流モーター駆動回路です.
PICにはA/D変換機能とPWM出力機能があるので,このPWM機能を使って,直流モーターの
チョッパー制御をしようというわけです.それでは,以下に設計してみたシステムを載せていきます.

まずは,全体のブロック図からです.

ブロック図

簡単に流れを説明すると,

  1. ボリュームからモーター駆動指令を制御回路へ送る
  2. 制御回路が指令を読み込み,PWM信号を出力する
  3. ドライブ回路で絶縁・FET駆動用の電圧値に変換する
  4. 主回路がスイッチングを行い,モーターに電圧を印加する
といった流れになります.
尚,ボリュームだけでは一体自分がどういう指令値を送っているかがわからないので,
7セグ表示器に現在の指令PWMデューティ比を数値化したものを,パーセンテージで表示するようにしています.

では,これらのブロックの詳細を順番に説明していきます.
一応,各ブロックに書いてある(Sheet○)というのが回路図の番号なのですが,
適当につけていたため,バラバラなのはご容赦ください.

まず,Sheet4(回路図番号)の制御回路です.

制御回路

ワンチップマイコンのPICを使うことで,制御部はここまで簡略化されます.
左上の可変抵抗VRが,ブロック図の指令ボリュームになります。
この可変抵抗は,中間点の位置(PICピン側)を変化させることにより,PICのピンに0〜5Vを入力することができます.
そして,PICのA/D変換精度は10-bitなので,0〜5Vの値を1024段階で取り込むことができます.
今回は正逆転でチョッパー制御を行いたいので,2.5Vを中間点(停止)とし,
±それぞれ512段階のアナログ値の取り込みます。(実際は中間点に遊びを入れるため,若干分解能は下がりますが).
そして正逆それぞれにPWMのデューティ比を0〜100%まで割り振り,これをPWM信号とします。

次に,ドライブ回路です。

ドライブ回路

これは,主回路側と制御側を電気的に絶縁して,主回路側で短絡などの事故が発生しても
制御側が壊れないようにする働きと,主回路側で発生するノイズが制御側に来ないようシャットアウトする働きがあります。
また,下アームは共通の±15V電源を使えますが,上アームのFETついては,
FET1個につき1つの±15V電源を用意する必要があります。
次は,主回路です。

主回路

主回路はNMOSで構成された,何の変哲も無いHブリッジ回路です。
ノーマリーOFFさせておくための抵抗R1〜R4を付けています。
フリーホイーリングダイオードはFETの寄生ダイオードでかまわないでしょう。

NMOSのQ1とQ3のソースから出ているラベル「LEFT_SOURCE」と「RIGHT_SOURCE」は,
それぞれ上のドライブ回路のドライブ電源U1とU2の中間電位(N)と接続されています。
こうすることで,U1とU2がそれぞれQ1とQ3のソース電位を基準とした±15V電源となり,
ゲート-ソース間に±15Vを印加することが可能となります。

しかし,この主回路で用いているFETの2SK3142は,実際は±4Vもあれば十分にスイッチングできます。
今回は他のFETも使えるドライブ回路を設計したので,一般的な±15Vを採用しただけです。

最後に,ユーザインタフェース部の7セグ表示器です。

7セグ表示器

ここでは,指令PWMデューティを-100%〜100%で表示します。
逆回転の時には符号「-」を付けるため,一番左の7セグLEDを用意しています。
すなわち,PICはモーター制御を行いながら,4つの7セグLEDのダイナミック点灯制御を行います。

以上でDCモーターの駆動システムの項は終了です。
まだ実機は作っていないので,暇を見つけながら作ってゆきたいと思います。

後日談
これだけ設計しておいてなんだけど,先生から
「この回路は君の範疇を抜けてないね,ツマンナイ」とバッサリ斬られました.
これの実機を作ることは,無いのかもしれません.よかったら,誰か作ってくれませんか・゚・(ノД`)・゚・


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