□ Research |
・PWMコンバータの直接電力制御法(Direct - Power - Controlled:DPC)に関する研究
PWMコンバータの一般的な制御法には,図1,2に示すPI+キャリヤ変調方式やヒステリシスコンパレータ方式があります。このPWMコンバータの新しい制御法として,直接電力制御法(Direct-
Power-Controlled:DPC )があります。まず従来法であるPI+キャリヤ変調方式とヒステリシスコンパレータ方式について簡単に説明します。入力力率1,DCバス電圧一定制御を達成するために,DCバス電圧を検出して得られたVdcとDCバス電圧指令値Vdc*の偏差をPI制御器に入力して得られたI*と電源電圧を検出して得られたvsを掛け合わせることにより入力電流指令値is*を生成します。そして,実際の入力電流と比較しPI制御にして得られたコンバータ出力電圧指令値vc*と三角波と比較しスイッチングします。以上がPI+キャリヤ変調方式です。次にヒステリシスコンパレータ方式ですが,入力電流指令値is*を生成するところまではキャリヤ変調方式と同様ですが,実際の入力電流isとis*の偏差をヒステリシスコンパレータに入力し量子化してスイッチングを行います。両者の特徴として,はキャリヤ変調方式はPWM波形が良好で,ヒステリシスコンパレータ方式は応答性に優れています。
次に直接電力制御法(DPC)について説明します。図3に直接電力制御形PWMコンバータのブロック図を示します。直接電力制御法(DPC)とは,瞬時有効P・無効電力Qを演算し,フィードバック制御する手法です。電源電圧・電源電流を検出し,3相−2相変換して得られたvα,vβ,iα,iβから瞬時有効P・無効電力Qを算出します。また,有効電力指令値P*の生成はDCバス電圧Vdcとその指令値の偏差をPI制御器に入力し得られるI*とVdcの積で得られます。また,無効電力指令値Q*は外部より直接与えます。例えば,入力力率1制御するときは0を与えます。そして,P*とP,Q*とQの偏差をヒステリシスコンパレータに入力し量子化し,電力の増減を決定します。また,電源電圧位相もヒステリシスコンパレータを用いて30[deg]ごとに量子化し,空間的に12分割します。そして,Sp,Sqおよびθnをスイッチングテーブルに入力し,それらに応じたスイッチングモードを直接決定します。